けれども火の勢いは強くなるばかり。 一隊は日の渦に巻き込まれて脱出することができません。 尊のお命も危うくなりました。
尊が兵を従えて宝登山の麓へと進んで行くと、 森の中に岩に囲まれた清らかな泉がありましたので、 尊も兵も、この泉で「みそぎ」をして、身を清めました。
その後、ホド山は霊場として崇敬され、 弘仁年中に宝珠が光り輝き、 山頂に飛翔する神変が起こったことから 「宝登山」とも表される様になり、 仏教、特に修験者の修行場として栄え、 山麓には玉泉寺(真言宗)が開基されました。 …
『神籬』ヒモロギ(御神霊をおむかえするための標/しるし)を お立てになり、 〇神日本磐余彦尊(かんやまといわれひこのみこと/神武天皇)、 〇大山衹神(おおやまづみのかみ/山の御神霊)、 〇火産霊神(ほむすびのかみ/…
頂上からは悠々の天地が、広大、壮厳に眺められました。 尊はこの山を『火止山』ホドヤマと名づけられ、 “神々をおまつりするのにふさわしい、お山” とされました。
「おお、やはりあの犬たちは “山の神様のお使い” に違いない。 本当にありがとうございました。」 尊は、神様に対し、心から御礼を申し上げました。
頂上へ着くと、いつのまにか 犬の姿はどこにも見えません。 影のように現れた犬たちは、影のように消えていました。
さあどうぞ、頂上へご案内いたしましょうというように。